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映画「落下の解剖学」vol.1

  • 執筆者の写真: 中西れいこ
    中西れいこ
  • 2024年2月24日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年3月14日

映画好きのエナジーワーカーが解説する「映画deエナジーワーク」

週3回は映画館に通うエナジーワーカーれいこさんの映画通信。

多少のネタバレはあるので、読みたくない方は鑑賞後にどうぞ。






「落下の解剖学」2024/02/23 ブログ開設日の鑑賞。日比谷シャンテ

2023年のカンヌ映画祭のパルムドール賞(作品賞)


概要雪深い人里離れた山荘で、視覚障がいのある11歳の少年が、転落死した父の死体を発見する。最初は事故死かと思われたが、捜査が進むにつれ。夫婦関係、親子関係が顕わになり、いくつもの謎が浮かび上がっていくヒューマンサスペンス。


感想:期待値が高く公開初日に日比谷シャンテで鑑賞。8割席が埋まるほどの盛況ぶりで期待値がガンと上がる。しかし、終わってみれば「え?これで終わり?」と肩透かし。演技は素晴らしかった。一人一人のキャラクターが立体的だった脚本もよかった。パルムドック賞を受賞したボーダーコリー犬には大感激。それでも「え?答えは?真実は?」と戸惑う。


エナジーワーク:しかし、カンヌのパルムドールだ。これは自分と向き合おうと思って、エナジーワーク。その結果わかったのは…私は相当なミステリー好きだということ。「真犯人は誰?トリックは?」という思考癖が上映中ずっとあって「真実を知りたがる」そんなエナジーが自分にあることに気づく。よく言えば探求心だけれど、猜疑心でもあり、「ものごとをドラマチックに複雑に考えすぎる癖」でもある。探求心だけ大切にして、あとは手放すワークをする。


私には「どんな映画も自分の心をあぶりだす装置」である。残念ながらイマイチ…と感じた自分をワークすると、自分のエナジーが観えてくる。この映画は、ある意味「日頃の自分の思考癖」をあぶりだしてくれた。それは「ドラマチックにしたがるエナジー」で、「小説家の妻が夫を殺すっていうストーリーは面白いから、そうだといいのに」と結論づけたがる映画に出てくるマスコミと同じだ。そんな自分の思考癖があるから、昨今のマスコミもそうなる…と思うと、背筋が凍る。法廷で「殺人か自殺か」という客観的な検証を行うが、そのプロセスのおかげで「ドラマチックな妄想より、複合的な客観性のなかに真実はある」という大切なことに気づけた。ありがたい。ありがたい。


鑑賞予定の方に…

日比谷という立地かもしれないが、外国人(アジア人も含めて)の観客が多く、ちょうど真後ろにも外国人が座っていた。興味深かったのは、その男性がクスクスと何度か笑うシーンに、日本人は全く反応していなかったこと。欧米文化や現代の習慣による「ブラックで客観的なユーモアの理解」が笑いを誘うのだ。よくある字幕翻訳の力量不足(私は英語わかるが、この映画字幕は優秀だった)で、日本人が笑えないのではない。現代的な多様性を生きる欧米の習慣は、単一民族の日本人には分かり辛いよ…と思ったので、この映画は「日本では評価されないだろう」と感じる。


でもそれは映画の評価を下げることではない。いまの欧米、こういう映画が評価されるのだ…という視点が、「落下の解剖学」という作品から何かを学び、「みてよかった」と思える気づきを生む。


私は映画に自分をゆだねる。「駄作なんてない。どんな映画にも素晴らしいところはある」というのは、人間と同じだと思う。「つまらなかった」で終わると、視野が狭い、つまらない人間になってしまうから。









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